企業を大きく成長させていくうえで、最も重要となるインフラ(土台)は何でしょうか。
売上の拡大や新規事業の立ち上げに目が行きがちですが、実は「バックオフィス業務(特に人事労務関連)の効率化」こそが、企業成長の成否を分ける鍵となります。
なぜなら、従業員数が増加していくと、それに比例して人事労務の業務量が爆発的に増大し、経営陣や担当者のリソースを大きく圧迫するからです。
従業員が数名のうちは「少ない工数でうまくいっている」と思い込んでいても、人数が増えれば給与計算や各種手続きが煩雑になり、一つのミスが大きなトラブルに発展しかねません。
そのため、会社を大きくしていこうとするのであれば、比較的少人数のうちから将来を見据えた体制づくりに投資をすることが不可欠です。
本記事では、人事労務の土台づくりの重要性と、最も安価で効率的な解決策である「社労士への外部委託(アウトソーシング)」について解説します。
1. なぜ少人数のうちから人事労務の「土台」づくりが必要なのか?
従業員増加に伴うバックオフィス業務の増大
創業期など従業員が少ないうちは、経営者ご自身や限られたスタッフが兼任でバックオフィス業務をこなすことが多いでしょう。
この時期は「今のやり方で問題なく回っている」と錯覚しがちです。しかし、事業が成長し従業員数が増えていくと、バックオフィス業務は比例して増えるのではなく、指数関数的に増大していきます。それに伴い、担当者の負担は目に見えないところで限界へと近づいていきます。
後回しにすると膨れ上がる導入・移行コスト
「会社がもっと大きくなってから、システムや専門家を導入しよう」と考える経営者の方は少なくありません。
しかし、独自のルールや手作業でのアナログな管理が社内に深く定着してしまった後に、新しい体制へ移行しようとすると、既存データの整理や従業員へのルール再周知に莫大な時間とコストがかかります。
将来を見据え、会社がまだ小さく身軽なうちにしっかりとした「土台」を作っておくことが、結果的に最もコストパフォーマンスの高い投資となります。
2. 人事労務の複雑さと自社対応の限界
人事労務管理は、毎月決まった作業をこなすだけの単純業務ではありません。従業員を一人雇うだけでも、以下のように多岐にわたる管理を継続的に行う必要があります。
- 毎月の定型業務: 勤怠管理、残業代の算出、給与計算、各種控除の計算
- 入退社時の手続き: 社会保険・雇用保険の資格取得および喪失手続き
- ライフイベントへの対応: 結婚・出産に伴う扶養異動、引っ越しによる交通費の変更・精算
- 休業制度の運用: 育児休業や介護休業取得時の免除申請・給付金の申請
特に近年は働き方に関連する法改正が頻繁に行われており、最新の法令に則った適切な対応が求められます。例えば、2025年(令和7年)4月1日からは、育児・介護休業法の改正により、3歳から小学校就学前の子を育てる労働者に対する柔軟な働き方(テレワークや短時間勤務など)の措置が事業主の義務となりました。
[出典:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」]
こうした複雑な制度を正確に理解し、常に適法な状態で管理し続けるためには、高度な専門知識が必要です。
しかし、専任の人事労務担当者を雇うためのノウハウがない、あるいは優秀な人材を採用・配置する余裕がないという会社がほとんどではないでしょうか。

3. 【具体例】体制づくりに失敗したA社と、早期に対策したB社
ここで、バックオフィスの体制整備に対する意識の違いがもたらす具体的ケースを比較してみましょう。
- 【A社の場合(自社での手作業に固執)】
従業員が20名を超えたあたりから、Excelによる勤怠管理や給与計算に限界が訪れました。
給与の計算ミスが頻発し、従業員の育休申請手続きが遅れたことで社内に不満が蔓延。
担当者は日々のクレーム対応に追われ、本来注力すべき採用活動が完全にストップ。結果的に事業の成長スピードが大きく鈍化してしまいました。 - 【B社の場合(少人数から外部委託を活用)】
従業員が5名の段階で、将来の組織拡大を見据えて社会保険労務士に人事労務全般をアウトソーシングしました。
法改正への対応や複雑な手続きはすべて社労士が正確に行うため、経営層や社員は本業である営業活動に専念。
従業員が30名に増えた現在でもバックオフィスは全く混乱することなくスムーズに稼働しており、安定した組織拡大に成功しています。
【具体例】従業員30名の中小企業A社の場合
・人事担当者を1名雇用した場合
給与:月額30万円(年収360万円)
社会保険料(会社負担分):約54万円(年収の約15%と仮定)
賞与:年2回(計60万円)
採用コスト(求人広告費など):約40万円
その他(交通費、福利厚生費、PC等備品代):約30万円
合計:年間 約544万円
・社労士に委託した場合(顧問契約+給与計算) 顧問契約料:月額4.4万円
給与計算料:月額3.4万円(基本料金+従業員単価)
合計:年間 約94万円(ウェルブルにご依頼いただいた場合の例)
| 比較項目 | 人事担当者1名雇用 | 社労士へ委託 |
| 年間コスト | 約544万円 | 約94万円 |
| 差額 | 年間 約450万円の削減効果 |
この比較から分かるように、社労士に委託することで、単純計算でも年間400万円以上の直接的なコスト削減が期待できます。 もちろん、担当者の採用や教育にかかる時間的コスト、退職リスクなども考慮すると、その差はさらに大きくなります。
経営者様や既存の従業員様が本来のコア業務に集中できる時間を確保できるという、数字には表れにくい生産性向上のメリットも計り知れません。
※弊所HPコラム「社労士への業務委託費用は高い?費用対効果を具体的な金額で徹底解説!」より引用
4. 専門家(社労士)への外部委託が安価で効率的な理由
自社で専任のバックオフィス担当者を一から採用・育成するには、多額の採用費用と人件費、そして教育にかかる時間が必要です。
さらに、その担当者が予期せず退職してしまえば、業務ノウハウが失われてしまうリスク(属人化のリスク)も抱えることになります。
一方で、社会保険労務士に人事労務業務を外部委託すれば、以下のようなメリットを得られます。
- コストの大幅な削減: 専任スタッフを一人雇う人件費に比べ、圧倒的に安価な月額顧問料でプロのサポートを継続的に受けられます。
- 正確性とスピードの担保: 常に最新の法律知識を持った専門家が対応するため、未払い残業代などの計算ミスや各種手続き漏れを未然に防ぎます。
- コア業務への集中: 煩雑なバックオフィス業務から解放されることで、経営層が売上を作るための「本業」に全力で注力できます。
人材やノウハウが不足している中小企業にとって、社労士という外部の「人事部」を持つことは、非常に効率的な選択なのです。
5. バックオフィス業務のアウトソーシングに関するよくある質問(Q&A)
Q1. 従業員が何名くらいになったら社労士に依頼すべきですか?
A1. 結論から言うと、従業員を1名でも雇用したタイミング、あるいは数名規模の早い段階でのご依頼を強くおすすめします。人数が少ないうちから正しい労務管理の土台を作っておくことで、将来的な労使トラブルを防ぎ、よりスムーズな組織拡大が可能になります。
Q2. 外部委託をすると、社内に人事労務のノウハウが残らないのではないでしょうか?
A2. 実務作業そのものは委託しますが、社労士と定期的に情報交換を行うことで、経営者様ご自身に「法律の考え方」や「労務トラブルの未然の防ぎ方」といった本質的なノウハウが蓄積されます。また、業務が特定の社員に依存しないため、急な退職による業務停止リスクをゼロにできるメリットの方が大きいです。
Q3. クラウド型の人事労務システムを導入するか、外部委託するかで迷っています。どちらを優先すべきですか?
A3. まずは「外部委託(専門家への相談)」を優先することをおすすめします。システムの導入はあくまで業務を楽にする「手段」であり、自社の就業規則や法律に合致した正しい初期設定ができなければ意味がありません。
社労士のサポートのもとで適法で最適な業務フローを構築し、そのうえで必要に応じてシステムを活用するのが最も効果的です。
6. まとめ:将来を見据えた人事労務の体制構築を
企業が成長し、規模を拡大していくためには、バックオフィス業務の効率化という「土台」が絶対に必要です。「今はなんとか回っているから」と後回しにするのではなく、比較的少人数のうちから将来を見据え、インフラづくりへの投資を検討してみてください。自社で人材を確保することが難しいのであれば、専門家である社労士へ外部委託することが、最も安価で確実な近道となります。
【社会保険労務士事務所ウェルブルへご相談ください】
この記事で解説した「バックオフィス業務の効率化」や「人事労務の体制構築」といった問題について、社会保険労務士事務所ウェルブルにご依頼いただければ、貴社の個別の状況に合わせた具体的なご提案や問題解決が可能です。
将来を見据えた強い組織づくりの第一歩として、人事労務の専門家である私たちが全力でサポートいたします。
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