年次有給休暇の5日取得義務|パートの比例付与・時間単位年休・会社の管理方法

「パートにも年5日の有給休暇を取ってもらう必要があるのか」「時間単位で休んだ分を足せば、5日になるのか」
法律上、年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員には、原則として付与日から1年以内に5日取得させる必要があります。
これはパート・アルバイトも対象になり、時間単位年休の取得分はこの5日に算入できません。

この記事を参照していただき、会社側で従業員ごとの付与日数と期限を確認し、年休の残日数に加えて「5日取得義務に算入できる取得日数」を管理しましょう。

年次有給休暇の5日取得義務|対象者と管理期間

年5日の取得義務は、2019年4月から企業規模を問わず適用されています。
対象を決めるのは正社員かパートかという呼び方ではなく、その年に法律上付与される年休が10日以上かどうかです。そのため要件を満たすのであれば有期契約の従業員や管理監督者も含まれます。

管理する期間は、原則として従業員ごとの付与日(基準日)から1年間です。
たとえば、2026年10月1日に10日付与する場合は、2027年9月30日までに5日の取得が必要です。会社の決算期や、1月から12月までの暦年に自動的にそろうわけではないことも注意しましょう。

この5日には、本人の申請で取得した年休や、労使協定による計画年休も含めます。すでに本人の申請で3日取得していれば、会社が取得を確保すべき残りは2日です。5日取得済みの人にはこの義務を理由に追加で取得日を指定する必要はなく、また、指定することもできません。

なお、入社日に前倒しで付与する会社や付与日を全社で統一している会社では、管理期間が重なる場合などの特例があります。
就業規則の付与ルールと、勤怠システムの基準日の設定を合わせて確認してください。

パートの比例付与|年10日以上になった年から対象

パート・アルバイトにも、入社から6か月継続して勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤するなどの要件を満たせば年休が発生します。
その後の付与でも、原則として直前1年間の出勤率を確認します。

「週の所定労働時間が30時間以上、または週の所定労働日数が5日以上」の人は、通常の付与日数となり初回は10日です。
週以外の期間で労働日数を定める人は、年間所定労働日数が217日以上の場合に通常の付与日数となります。

一方、週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下の人は、所定労働日数に応じた比例付与になります。週以外の期間で労働日数を定める場合は、年間所定労働日数で判定します。(付与日数は下記表を参照してください)

週所定
労働日数
年間所定
労働日数
6か月1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年
6か月以上
4日169~216日7日8日9日10日12日13日15日
3日121~168日5日6日6日8日9日10日11日
2日73~120日3日4日4日5日6日6日7日
1日48~72日1日2日2日2日3日3日3日

勤続年数は入社からの期間です。表は各付与時点の出勤率など、法定の付与要件を満たす場合の日数です。

勤務条件が変わらず毎年の付与要件を満たす場合、週4日勤務の人は勤続3年6か月以降、週3日勤務の人は勤続5年6か月以降は10日以上の付与となり、5日取得義務の対象になります。「採用時は対象外だったパート」の方も、勤続年数が延びると対象に変わります。

対象者の判定では前年からの繰越分を足しません。
たとえば、その年の法定付与が9日、繰越が3日で残日数が12日になっても、それだけで5日取得義務の対象にはなりません。ただし、対象となる人が管理期間内に取得した繰越分の年休は、5日の取得実績に含められます。
※付与日数や基本的な要件は、厚生労働省の労働条件・職場環境に関するルール(年次有給休暇)でも確認できます。

時間単位年休と半日年休|5日の数え方の違い

よくある勘違いですが、時間単位年休を何時間取得しても5日取得義務の実績には算入できませんので注意が必要です。1日8時間勤務の人が時間単位で合計8時間休んでも、取得義務上の「1日」には換算しません。

取得の種類5日取得義務への算入
1日単位の年休1回につき1日
半日単位の年休1回につき0.5日
時間単位の年休算入できない

半日年休は、本人が希望し会社が同意して取得する場合などに認められる取扱いです。会社が5日取得義務のために半日単位で取得日を指定する場合も、本人に半日取得の希望があることが前提になります。

ここで間違えやすいのが、半日年休と時間単位年休の区分です。時間単位年休として取得した4時間を、単に集計上「半日」に置き換えて5日の実績に算入することはできません。申請時点で取得区分を明確にし、勤怠データにも同じ区分を残しましょう。

取得日数の計算例

年休が10日以上付与される従業員が、同じ管理期間内に「1日年休を3回」「半日年休を2回」「時間単位年休を合計4時間」取得したとします。

5日取得義務に算入できる日数は、
3日 + 0.5日 × 2回 = 4日
となり、残り1日の取得が必要です。時間単位年休の4時間は年休残高から消化しますが、この計算には足しません。

時間単位年休の導入には、過半数労働組合または適正に選ばれた過半数代表者との書面による労使協定が必要です。協定で対象者、年5日以内の対象日数、1日分に相当する時間数などを定めます。前年度からの繰越分を含めても、時間単位で取得できるのは年5日分までです。

この「時間単位で取得できる上限の5日」と、「会社が取得させる義務を負う5日」は別の仕組みですので、時間単位年休を導入しても、1日・半日単位での取得状況を引き続き確認する必要があります。

会社の管理方法|付与日・取得実績・不足日数を毎月確認する

年休残日数だけを見ても期限までに5日取得できるかは分かりません。次の順で、管理表と確認の担当を整えます。

1.雇用契約書・勤怠記録から、対象者と基準日を確認する

雇用契約書や労働条件通知書で所定労働日数・時間を、従業員名簿で入社日を、勤怠記録で出勤率を確認します。
正社員とパートを同じ一覧に載せ、その年の法定付与日数、5日取得義務の対象・対象外、取得期限を記録します。契約更新や勤務日数の変更があった人は、付与の判定に使う勤務条件も見直してください。

2.年次有給休暇管理簿に、必要事項と管理用の項目をそろえる

会社は、従業員ごとの年次有給休暇管理簿を作成し、基準日、取得した日付(時季)、取得日数を明らかにする必要があります。法定の付与日数が10日未満のパートも含め、年休を付与する従業員について作成します。

実務では、次の項目も加えると、残日数の確認から取得の調整まで進めやすくなります。

  • その年の付与日数、繰越日数、年休の残日数・残時間
  • 1日・半日単位の取得実績と、時間単位の取得実績
  • 5日取得義務に算入できる日数、5日までの不足日数
  • 取得期限、今後の取得予定日、本人への確認状況

予定日を入力しただけで「取得済み」にしないことも必要です。申請・承認の記録と実際の勤怠を照合し、出勤に変更された日や取り消された申請が残っていないかを確認します。

※管理簿の保存期間は対象となる年休の期間中とその期間が満了した後5年間です。ただし、現在は経過措置により、満了後の保存は当分の間3年間とされています。Excelや勤怠システムで管理する場合も、必要なときに出力でき、保存期間中の記録を確認できる状態にしてください。

3.毎月の勤怠締めと一緒に、不足者を確認する

総務・人事担当者が毎月の勤怠を締める際に、5日未満の人と取得期限を一覧で確認します。そのうえで、所属長が本人の希望や業務の引継ぎを調整する、という役割分担にすると、記録と実際の取得をつなげやすくなります。専任担当者がいない会社では、経営者自身が確認する日を決めておきましょう。

たとえば「基準日から6か月で取得状況を確認し、残り3か月になっても不足している人は具体的な日程を調整する」といった社内の目安を設けます。これは法律で決まった確認時期ではなく、期限直前の集中を避けるための運用例ですので事業所にあったスケジュールを組みましょう。

4.不足が見込まれる人は、意見を聴いて取得日を指定する

本人の申請や計画年休だけでは5日に届かない場合は、会社が不足分について取得日を指定します。
その前に本人の意見を聴き、できる限り希望に沿うようその意見を尊重する必要があります。就業規則がある会社では、あらかじめ時季指定の対象者の範囲や方法も定めておきます。

ただ「休んでください」と通知するだけでは、取得を確保したことになりません。本人への案内、代わりに対応する人の調整、当日の勤怠確認まできっちりと進めます。年5日を取得させる義務に違反した場合には、30万円以下の罰金の規定があります。

制度全体の取扱いは、厚生労働省の「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」(PDF)を参照してください。

よくある質問

本人が「有給休暇は要らない」と言えば、取得させなくてよいですか?

本人が希望しないことだけで、会社の義務がなくなるわけではありません。
対象者については本人の意見を聴いたうえで取得日を調整し、必要に応じて会社が指定します。申請を待つだけの運用にせず、休めない理由が仕事の集中や引継ぎ不足にある場合は、その調整も行いましょう。

お盆休みや年末年始の休みを5日に含められますか?

会社の所定休日である場合は年休ではないため含められません。また、法定年休とは別に設けた夏季休暇などの特別休暇も、原則として算入できません。
一方、労使協定に基づき、もともとの労働日に年休を計画的に取得させた場合は、その日数を含められます。計画年休では本人が自由に取得できる年休を少なくとも5日残す必要があります。

5日取得すれば、それ以上の年休を認めなくてもよいですか?

5日は会社が取得を確保する最低限の日数です。年休取得の上限ではありません。残っている年休についても、本人の申請に応じて法令に沿って扱う必要があります。5日取得済みという理由だけで、その後の申請を断ることはできません。

年休管理の見直しは、勤怠設定と社内ルールの確認から

最初に確認したいのは、今の管理表で「誰が対象か」「いつまでに」「あと何日必要か」を読み取れるかどうかです。パートの付与日数や時間単位年休の集計が曖昧なままでは、システムに記録があっても、取得義務の達成を判断できません。

社会保険労務士事務所ウェルブルでは、年休の付与・取得・残日数管理を含む勤怠システムの導入・設定支援や、就業規則の確認・見直しのご相談を承っています。

パートの付与設定、時間単位年休の集計、取得期限の確認などで迷っている場合は、現在の管理方法とお困りの点をお問い合わせフォームからお知らせください。会社の勤務形態と、担当者が続けられる運用に合わせて一緒に整理いたします。

本記事は2026年10月11日に確認した公的資料に基づく一般的な解説です。前倒し・分割付与、付与日の統一など、会社独自の運用がある場合は個別の確認が必要です。

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